ツインザー

数年前からのツインブームだし、せっかくツインザーのボードを所有してるんだからツインザーについても書いておこうと思う。
ちなみに僕のツインザーはパべルやマッカラムといった、意識高い系ブランドじゃなく、vonsolというあまり知名度のない、田舎的体育用品系メーカーのものだ。

しかし、性能的にはまったく申し分ない。

ツインザーというのはツインフィンの外側に小さなフィンがついているのが特徴だ。言葉で説明するのは面倒だが見れば解るだろう。

ツインザーに関しては、いつ誰が発明したのか定かではない。その胡散臭い見た目のせいか、他の発明に比べて軽んじられている気がする。

ツインザーの性質・特徴は、フィンを横切る水流を外側の小さいフィンで拾って後ろに流すというところにある。フィンの数自体はクアッドと変わらないが、フィンに与えた役目の違いから、クアッドとツインザーは全く別物と考えるべきだと思う。

クアッドは前列のフィンと後列のフィンがあって、前列はトライフィンのサイドフィン、後列はセンターフィンと同じ役目を果たしていると考えて良い。だから大雑把に考えると、前列はターンの制御とスピードの管理、後列は安定性確保のためのスタビライザーといったところだ。細かく考えだしたらキリがないから、とりあえずそういうことにしておく。

対してツインザーは前列、後列というよりも外側、内側というような配置になっている。内側にはツインフィンと同等のフィン、外側はスタビ的な小さなフィンだ。この小さなフィンがあるとなしでは乗り味に大きな差が生まれる。
何が変わるのか?と言うと、ターンがすごく伸びるようになる。その感覚を例えると、ありがちな表現だが、ターボが効いたような感じだ。簡単にいえば早い波を抜けたり掘れた波に対する適応力が上がる。
ツインザーはその名から推測するに、位置付けとしてはボンザーの亜種というか、発想の大元は同じアイデアなんじゃないかと思う。
水流を掴まえて後ろに流すことでスピードを稼ごうという試みは同じだし。

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フィンの間に水流が発生する

だけど、その効果自体は(あくまで個人的感想)ボンザーよりもツインザーの方が優れているように感じる。

ボンザーはコンケーブやフィンによってスピード性は付加されているけれどターン性能が飛躍的に上がっている感じはしない。もちろんスピードが付きやすくなる分だけターンは深くできるし、ラディカルな動きもできるんだけど、正比例な印象。

対して、ツインザーは増したスピード性に2乗に比例してターン性能も上がっている感じがする。

これは小さいフィンがあることによって、フィンが正しく仕事をするようになるからだと思う。

ツインフィンのみだとフィンの直前をボードの中心から外側方向に横切る水流はフィンの外側に回り込んだ時にフィンから不規則に剥がれて乱流になる。それがツインザーでは流れを剥がれにくくして層流(規則正しい流れ)にしていると思われる。その効果として、安定性とスピードを得ているのだと思う。

安定性とターン性能は一般的なボードでは相反する要素として使われるものだけど、ツインフィン(特にテールが幅広のボード)では安定性がないとターンが難しくなる。要はスタビリティーのないボードは寝かせてられないってこと。長いターンや深いターンが難しくて、大げさに言うとチョコチョコとレールを入れ替えてバランスをとる感じになる。

ツインフィンはハイラインをキープするスタイルに向く。と言われる理由はハイラインにいれば波側のレールが常に喰った状態になって安定するからだ、と個人的に思っている。

ツインザーはそういう感じがなくて、もっと芯のある乗り味になる。

層流は物体の表面に張り付いて規則正しく流れる分だけ速くスムーズだけど、時としてその流れが物体の動きを制限して重く感じさせる。

乱流はその反対で、「乱れ」という響きでは良くない事のように聞こえるが、そんなことはなくて、その剥がれた流れには物体を引っ張る力がほとんどないので自由度がうまれる。

これは水道から落ちる水にスプーンを当ててみればわかる。凸面(層流)は流れに張り付いて水と一体となるのに対して、凹面(乱流)流れに弾かれて暴れる。よく言えば水の影響を受けない。

これはレーシングカーでも同じで、ああいう車も旋回性やスピードの為に層流と乱流を使い分けている。

そんな風にツインザーとツインの違いは生まれているのではないかと思う。