hullとコンケーブ

巷ではhullがちょっとしたブームなの?

今までいろんなボードに乗ってきたが、個人的にhullとは縁がない。

というのも僕がサーフィンを始めた頃は、2000年代に入ったばかりで今ほど様々なボードの選択肢がなかったし「男はショートだろ」みたいな田舎の風習的なものが、まだ色濃く残っていたからだ。男は理系、みたいな。

ちなみにその頃は浜松に住んでいた。今の浜松はどうなのかなぁ?

でも、そういう感じは千葉でもまだ残ってるよね。ボードやウェットを見ればなんとなく都内のサーファーか地元のサーファーかわかるもん。

そういうわけで、サーフィンを始めて数年は生粋のショートしか乗ったことがなかったし、その後普通のショートじゃないボードを選ぶにしても、どこかパフォーマンスを匂わせるボードを選んでいた。それがシングルでもフィッシュでも。

だからどこかドンくさい感じのするhullには縁がないのだ。

だが、決して興味がない訳でも否定するわけでもない。ただ縁がないというだけだ。

ということでhullについて少し考えてみたい。

まあhullにもいろいろあるみたいなので、ざっくり大雑把な定義としてコンベックスボトムっつうのかな?ラウンドしたボトムを持つボードのことをここではhullとして考えたい。

さて、前にも書いたけれどスプーンの凸面を水道から流れ落ちる水流に当てると、ぴったりと吸い付いたようになってスムーズな流れを作る。

おそらくhullのボトムでも同じような事が起こっているに違いない。だからhullはどこか不安定でスルスルとした乗り味をしているのだと思う。そのあたりのことは乗ったことがないので断定はできないのだけれど、聞きかじる限りでは「ターンが難しい、スピード感が半端じゃない」ということなので、やはり凸状のボトムは引っ掛かりがなくツルツルと水面を走る感じなのだと思う。

さらにシングルフィンなので安定させるのも難しいのだろう。フィンにも様々な役目があってドラッグ(引き摺り)があるほうが安定する。これは左右どちらかのレールが入っているのと同じような効果で、抵抗が安定を生む。

スノボーやスキーで、どちらのエッジも利かせないでボトム面でスルスルと滑るのは案外難しい。それと同じ。

車やバイクでも、ブレーキをかけているときの方が車体は安定している。最近の車はブレーキを踏みながら曲がれるような開発をされているので実感はないかもしれないが、バイクでははっきりと感じることができる。「わかんないよ」という人がいたら、それはバイクに乗るのが下手な人だな。

hullの難しさはレールが薄いことにあるように書かれているものをよく見るけれど、それも真実かもしれない。その薄さの本来の狙いは、パワフルで掘れた波に無理やりレールを突っ込むことで安定と回転性を得る、というものではないかと思う。ところが日本にはそこまでパワフルで掘れた波は少ない。中途半端に柔らかい波にレールがぶっ刺さって失速する、的な事が起こりやすいんじゃないだろうか。グリグリに掘れてくる波ならば、常にレールが入り続けることで安定するだろうし、そういう波ならレールを切り返す必要はほとんどないだろう。

その他にhullが難しい理由を考えるとすると、それは二―ボード発端のデザインだから。という理由があるかもしれない。

いろんなタイプのボードに乗るサーファーには身に覚えがあるとおもうが、浮力のあるボードに乗ると誰でも重心が高くなる。別の言い方で言うと、浮力の小さめのボードに乗る時は自然と重心の下がった乗り方になる。それはある程度スタンスの広い膝の曲がった乗り方だ。

で、ニーボードは膝立ちで乗るものだ。つまり重心が低い。だからニーボードの設計は急激な入力に対して過敏であっても構わない作りになっているはずだ。乗っている人の重心が低いってことは、その人は振り回されにくいしバランスを崩しにくい。さらにリカバリーもしやすいってことだから。

ちょっとまとまらなくなってきた。えーと、だから

hullは、本来重心を低くして乗るはずの細部の設計に対して、全体の浮力が大きいせいで、サーファーは棒立ちに近いスタイルになる。だから難しく感じる。ってことかな。

もしも短くてペラペラのhullがあったら、それは意外と難しくないかもしれない。

 

 さてと。これで今日書きたいことの半分は書いた。もう半分はコンケーブのこと。

 

コンケーブのことについても、いくつか考えていることがあるけど、まず、なんでボンザーのコンケーブは深いの?って話。

ボンザーはサイドフィンで水の流れを集めて後ろに流すことでスピードを得ているという話は前に書いた。

それで個人的にボンザーのコンケーブの役目は流路の確保にあると思う。

ボンザーやその他のボードのコンケーブを説明するうえで、度々出されるベンチュリー効果っていう理屈があるのだけれど、僕としてはサーフボードのボトム面ではほぼあり得ないと思っている。

ベンチュリー効果っていうのは、入り口が広く途中からキュッと狭くなっているような管(砂時計みたいな)を流体が流れるとき狭くなったところでは流速が上がるというもの。

でもサーフボードのボトム面では水が逃げるところが沢山あるし、流路が狭くなった場合、抵抗になってボードの進行スピードが低下するorボードを持ち上げる力が発生すると思う。

ボードを真横から見た場合、ボードにはロッカーがあるからおおよそセンター辺りが最も流路が狭くなる。そのような形のボードの下を水が流れることでボードに揚力が生まれる。でも強すぎるロッカーは抵抗になるし、プレーニングエリアが狭いことでスピードが出にくくなる。だから近代的なボードにはコンケーブが彫られている。

これは割と2次元的なとらえ方なんだけど、ボンザーはこれを3次元的にとらえていて、ボードが傾いた時にレールとフィンが集めた水を糞詰まりにさせないよう、深いコンケーブにしている気がする。もしも深いコンケーブがなかったら集めた水の行き場がなくなって抵抗になる=スピードダウンするか、ボードが持ち上げられやすくなって暴れやすくなる。そんなところだと思う。

 

考えていることを文章にするのは難しい。本当なら居酒屋で「ああでもない、こうでもない」と話すのが一番面白そうな話なんだけどなぁ。

 

全く関係ないけどティム・カラン。一番好きなサーファー。

サーフィンが美しいよ、本当に。彼の音楽もいいんだ。


Surf Timmy Curran