相も変わらず

月日が経つのは早い。

前にいろいろ書いてからどれほどの時間がたったのだろうか?

2ケ月くらいか?

僕のいる産業機械関連の業界ではよくあることだと思うが、とにかく出張が多い。

それは産業の特徴として、ユーザーが多くはない、一つの機械が大掛かり且つ高価、顧客が全国に散在している、というようなことに起因している。

ビジネスとして成り立つ市場はあるのだが、かといって全国に営業網を張り巡らせるほどの規模ではないということで、うちの会社では関東の営業所から全国に修理、納品に行く。

もちろん金属探知機や冷凍冷蔵関連機器、包装機など汎用性が高くてあっちこっちで使われている機械メーカーだと、各県に支店があったりするので必ずそう、というわけではないけど、一般的には、という話だ。

というわけでニッチな産業で働く僕は出張が多い。この一カ月は半月ほど家にいなかった。その前の月も10日ほど家にいなかったし…。

それでも暇ができれば海には行っていた。

どういうわけかサイズが上がる日に当たることが多くてボンザー3Dでかなり手こずった。

ここ最近見つけたボンザー3Dの難しさは、最初のターンで思いっきり踏めないところにある。フィンがいくつか付いているボードならテイクオフして最初のターンでグッとスピードをつけることができる。そのスピードでトップに上がってさらに加速させられる。

人によって乗り方が違うので一概には言えないが、僕の乗り方では最初のボトムターンと次のトップターンでライディングの9割くらいが決まると言ってもいい。

ところがボンザーはそれを許さない。

とにかく最初のボトムターンは優しく舐めるようにいかないと、ユラユラユラ!とかなり乱雑に暴れる。だからダウンザラインは慎重に。スススーッとボトムターンに入って行って緩やかにトップに上がる。トップでの返しは上がりすぎなければクイックに行けるので、スナップ気味に。又は大きく弧を描いてカットバック。で、またなめらかに。って感じ。サイズがある波(肩~頭)ではかなり丁寧にならないといけないので、正直なところストレスがたまる(笑)

乗ってる感じでは胸位までのボードかな。

それ以上の波では他のボードの方が楽しいと思う。

いろんな観点から見て、いろいろ考えたり感じたりしたことの間をすっ飛ばして言えば、こればっかり乗っていれば確かにサーフィンは上手くなるかもしれん。多分次に3フィンのボードに乗った時に「なんて乗りやすいんだ!」って思う気がする。

 

hullとコンケーブ

巷ではhullがちょっとしたブームなの?

今までいろんなボードに乗ってきたが、個人的にhullとは縁がない。

というのも僕がサーフィンを始めた頃は、2000年代に入ったばかりで今ほど様々なボードの選択肢がなかったし「男はショートだろ」みたいな田舎の風習的なものが、まだ色濃く残っていたからだ。男は理系、みたいな。

ちなみにその頃は浜松に住んでいた。今の浜松はどうなのかなぁ?

でも、そういう感じは千葉でもまだ残ってるよね。ボードやウェットを見ればなんとなく都内のサーファーか地元のサーファーかわかるもん。

そういうわけで、サーフィンを始めて数年は生粋のショートしか乗ったことがなかったし、その後普通のショートじゃないボードを選ぶにしても、どこかパフォーマンスを匂わせるボードを選んでいた。それがシングルでもフィッシュでも。

だからどこかドンくさい感じのするhullには縁がないのだ。

だが、決して興味がない訳でも否定するわけでもない。ただ縁がないというだけだ。

ということでhullについて少し考えてみたい。

まあhullにもいろいろあるみたいなので、ざっくり大雑把な定義としてコンベックスボトムっつうのかな?ラウンドしたボトムを持つボードのことをここではhullとして考えたい。

さて、前にも書いたけれどスプーンの凸面を水道から流れ落ちる水流に当てると、ぴったりと吸い付いたようになってスムーズな流れを作る。

おそらくhullのボトムでも同じような事が起こっているに違いない。だからhullはどこか不安定でスルスルとした乗り味をしているのだと思う。そのあたりのことは乗ったことがないので断定はできないのだけれど、聞きかじる限りでは「ターンが難しい、スピード感が半端じゃない」ということなので、やはり凸状のボトムは引っ掛かりがなくツルツルと水面を走る感じなのだと思う。

さらにシングルフィンなので安定させるのも難しいのだろう。フィンにも様々な役目があってドラッグ(引き摺り)があるほうが安定する。これは左右どちらかのレールが入っているのと同じような効果で、抵抗が安定を生む。

スノボーやスキーで、どちらのエッジも利かせないでボトム面でスルスルと滑るのは案外難しい。それと同じ。

車やバイクでも、ブレーキをかけているときの方が車体は安定している。最近の車はブレーキを踏みながら曲がれるような開発をされているので実感はないかもしれないが、バイクでははっきりと感じることができる。「わかんないよ」という人がいたら、それはバイクに乗るのが下手な人だな。

hullの難しさはレールが薄いことにあるように書かれているものをよく見るけれど、それも真実かもしれない。その薄さの本来の狙いは、パワフルで掘れた波に無理やりレールを突っ込むことで安定と回転性を得る、というものではないかと思う。ところが日本にはそこまでパワフルで掘れた波は少ない。中途半端に柔らかい波にレールがぶっ刺さって失速する、的な事が起こりやすいんじゃないだろうか。グリグリに掘れてくる波ならば、常にレールが入り続けることで安定するだろうし、そういう波ならレールを切り返す必要はほとんどないだろう。

その他にhullが難しい理由を考えるとすると、それは二―ボード発端のデザインだから。という理由があるかもしれない。

いろんなタイプのボードに乗るサーファーには身に覚えがあるとおもうが、浮力のあるボードに乗ると誰でも重心が高くなる。別の言い方で言うと、浮力の小さめのボードに乗る時は自然と重心の下がった乗り方になる。それはある程度スタンスの広い膝の曲がった乗り方だ。

で、ニーボードは膝立ちで乗るものだ。つまり重心が低い。だからニーボードの設計は急激な入力に対して過敏であっても構わない作りになっているはずだ。乗っている人の重心が低いってことは、その人は振り回されにくいしバランスを崩しにくい。さらにリカバリーもしやすいってことだから。

ちょっとまとまらなくなってきた。えーと、だから

hullは、本来重心を低くして乗るはずの細部の設計に対して、全体の浮力が大きいせいで、サーファーは棒立ちに近いスタイルになる。だから難しく感じる。ってことかな。

もしも短くてペラペラのhullがあったら、それは意外と難しくないかもしれない。

 

 さてと。これで今日書きたいことの半分は書いた。もう半分はコンケーブのこと。

 

コンケーブのことについても、いくつか考えていることがあるけど、まず、なんでボンザーのコンケーブは深いの?って話。

ボンザーはサイドフィンで水の流れを集めて後ろに流すことでスピードを得ているという話は前に書いた。

それで個人的にボンザーのコンケーブの役目は流路の確保にあると思う。

ボンザーやその他のボードのコンケーブを説明するうえで、度々出されるベンチュリー効果っていう理屈があるのだけれど、僕としてはサーフボードのボトム面ではほぼあり得ないと思っている。

ベンチュリー効果っていうのは、入り口が広く途中からキュッと狭くなっているような管(砂時計みたいな)を流体が流れるとき狭くなったところでは流速が上がるというもの。

でもサーフボードのボトム面では水が逃げるところが沢山あるし、流路が狭くなった場合、抵抗になってボードの進行スピードが低下するorボードを持ち上げる力が発生すると思う。

ボードを真横から見た場合、ボードにはロッカーがあるからおおよそセンター辺りが最も流路が狭くなる。そのような形のボードの下を水が流れることでボードに揚力が生まれる。でも強すぎるロッカーは抵抗になるし、プレーニングエリアが狭いことでスピードが出にくくなる。だから近代的なボードにはコンケーブが彫られている。

これは割と2次元的なとらえ方なんだけど、ボンザーはこれを3次元的にとらえていて、ボードが傾いた時にレールとフィンが集めた水を糞詰まりにさせないよう、深いコンケーブにしている気がする。もしも深いコンケーブがなかったら集めた水の行き場がなくなって抵抗になる=スピードダウンするか、ボードが持ち上げられやすくなって暴れやすくなる。そんなところだと思う。

 

考えていることを文章にするのは難しい。本当なら居酒屋で「ああでもない、こうでもない」と話すのが一番面白そうな話なんだけどなぁ。

 

全く関係ないけどティム・カラン。一番好きなサーファー。

サーフィンが美しいよ、本当に。彼の音楽もいいんだ。


Surf Timmy Curran

 

 

1月30,31日の週末サーフィン

歳を取って自分が何を書いたのかよく覚えていないことが多くなってきた(笑)

先週末も波を求めて海へ行った。土曜日は強風、日曜日は小波だった。

日曜日の方が期待していたけど、結果的に乗り易かったのは土曜日かな。

土曜日はボンザー、日曜日はツインザーで入った。

土曜日の波はムネカタでまぁまぁ掘れていたから、誰がどんなボードに乗っていても調子よく乗れたんじゃないかな。結構上手い人もいた。

だけど風が強かったし、ボードの評価はし辛い条件だった。

日曜日は久しぶりのツインザー。このところしばらくボンザー3Dばかりだったので、テールの広いボードは久しぶり、っつってもボンザー3Dだってテールは幅広か。

久しぶりのツインザーの印象は「よく走る」。これに尽きる。とにかく小波でも楽しめる。何本か良いのに乗れて満足。

ボンザーのコンケーブについて気が付いたことを書こうと思っているけれど、いまいち自分の中でまとまりきらないので、もう少し考えてから書こうと思う。

今月は出張が多い。移動と出張が多い仕事をしているメリットは考える時間がたくさんあることかな。

 

フィンのアスペクト比

フィンのことを考えていたのだが、そのついでにアスペクト比のことを思い出した。

アスペクト比というのは一般に縦横比のことをいう。

流体力学では基礎的な事だが、翼の場合、縦横比の内、横が長い方が翼の揚力が大きい。奥行というか縦方向は(翼の厚みじゃないよ)短くても構わないのだ。

翼に発生する揚力は、翼幅を直径とする円柱×移動距離で求められる。実際はもう少し難しい式があるけれど、基本はこれだ。

だから人力飛行機やグライダーは細長ーい翼を持っているし、逆にジェット戦闘機は小さな三角だったりする。

人力飛行機は小さな力で大きな揚力を得たい。

逆にジェット戦闘機はパワーがあるから翼で得られる揚力は小さくてもいい。その代わり小回りや急旋回時の強度を重視している。

あと、翼の場合は翼から空気の流れが剥がれることによって生じる「失速」がある。

見たことがある人ならわかると思うけれど、よく鳥人間コンテストで機体がかなり上を向いた後、急降下して水面に落っこちるあれだ。

おそらく一般論として、揚力の大きい翼というのは急激な姿勢変化や流れの方向の変化に対する適応力が高くない。まぁ、もともとそういう翼を持った機体というのはパワーソースが非力なこともあってリカバリー能力もないから、総合的に無理が効かない=無理をさせない設計になっていると思う。

翼というのはそのようにして様々な要因で選ばれるものなので、一長一短であって、最良の選択肢は存在するが、最高の翼というのはない。

で、サーフィンのフィンだけど、僕は過去に何度も自作のフィンを作ってきた。それは自分のサーフィンの質を高めたいという気持ちがあったからだ。

僕が作ったのは基本的にトライフィンのセンターに使うものばかりだったけれど、結構いろんなことがわかった。

その中で最も重要だと思ったのはフィンの高さ。

上で書いた翼幅に相当する部分だ。表面積やレイクの強さ、ベースの広さ等よりもフィンの高さは劇的に違いを生む。

ちょっと背が高ければグリップするし、色気を出して背が低すぎるフィンを作ると付いてる意味がないくらいのものになる。

今、ボンザー3Dについてるフィンは6.5inchだ。それがいいのかどうなのかはもうちょっと乗ってみないとわからん。

それにしても合理的なものは美しい。


Red Bull Air Race - Best Of | HD

ボンザーのメカニズム

 

低気圧の通過のタイミングが悪く、今週末はサーフィンができなかった。

ムリすればできたかもしれないが、強風下でのサーフィンは好きじゃない。

思うように乗れないし、思わぬ怪我につながる。下手するとボードをクラッシュさせる。自分で修理派の自分としては仕事が増えるのは極力避けたい。

着替えも寒い。車が汚れる。

できるポイントは限られるし、そういうポイントはだいたい混んでいる。

 

良い事よりも悪い事の方が圧倒的に多いのだ。

 

ということで、今日も妄想を楽しむ(笑)。

それでいつものように、ボンザーのフィンセッティングについて考えたい。

 

僕が見てきた限りでは、ほぼ例外なく、ボンザーのボードはセンターフィンがシングルボックスタイプであると思う。だいたいこのボックスは全長が20㎝くらいあって、6.5inchのフィンはベースが約15㎝程度なので、簡単に引き算すると5㎝は調整代があることになる。下の写真を見てもらえば、フィンの前後にかなり余裕があることがわかるでしょう?

ところが、である。

こんなに余裕があるにもかかわらず、キャンベルブラザースの指定する調整範囲はフィンの後端がボードのテールから14~14.6㎜と、たったの6㎜の範囲でセッティングを出すことになっている。

まぁ、そんなことは無視して自分であれこれやってみるのも自由だが、僕としては賛成しない。

なんでかっていうと、そもそも世界的メーカーが、ライダーやら,なんやら,

いろいろ使ってデータ集めした結果「それが良い!」と出している数値を、こんな極東アジアに住むおっさんが無視しても時間の無駄でしかないと思うからだ。

そこには根拠も多少あって、アンドレイ二の5フィンボンザーを買った当初、僕はボンザーのフィンセッティングの基本を知らなかった。だからシングルと同じ感覚で「前に出せば回転性アップ、後ろにやれば安定性アップかな」と思っていた。

でも、正直なところフィンを動かしても回転性や安定性は得られないばかりか、ぼんやりとした乗り味で、これはこういうボードなのかな?と思う日が続いたのだ。

その後、正しいフィンの位置があるってことを知って、その位置にしてみると(そこはボックスのかなり後方だった)今までとは全然違うクリアーな乗りものになった。

そういうことで基本は守るのが一番。

そういう訳でボンザーのフィンセッティングはシビアだという印象を持っている。

それで、そもそもなぜフィンがその位置じゃないとダメなのか?個人的に考えてみた。
まず写真を見てほしい。簡単に書いた矢印がボトムを流れる水流だ。この水流がだいたいどれ程の角度でボードを横切るものなのか、それはちょっとわからない。

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 波を真っ直ぐ降りていくだけなら、ストリンガーに平行に近いだろうし、深いボトムターンに入った瞬間なんかはだいぶ斜めから入って来る感じかな?
だから写真の矢印はターン中ということだ。そう思ってみてみると、いくつか気付くことがある。
この場合、サイドフィンは水流を受け止めることでスピードに変えているわけだが、もしセンターフィンがもっと前にあると、サイドフィンに到達するはずの水流を若干邪魔することになる。まあ、角度的にそんなことはなかったとしても、サイドフィンとセンターフィンの距離が、近くなることによって流路が狭くなる。

流路が狭くなるとどうなるかっていうと、条件によっては「そこを流れる流速が速くなる」という状況を生む。よくメーカーが言ってるアレだ。

ただ、僕個人としてはこれにはやや懐疑的で、サーフィンの状況下では流速は速くならずに、糞詰まり的に失速するだけなんじゃないかと思う。つまり単に抵抗になるだけ。そういうことだ。

もしそうじゃなかったとしても。流路が狭められた流れはサイドフィンを乗り越えて越水状態になるだろう。そうなればサイドフィンの役目は小さくなるし、それは理想的状況ではない。

さらにその状況ではボードをリフトさせる力が働くので、フィンが抜けやすくなる。そうなるとバランスをとるために深いターンが出来なくて、ボードは軽いがコントロールが難しいという状態になる。

だから、サイドフィンとセンターフィンはある程度の余裕を持った、解放された状態を保つ必要があるのではないかと思う。

逆にフィンが後ろすぎる場合には、センターフィンとサイドフィンの間にできた空間から水流が抜けて、サイドフィンの仕事が十分でなくなるのではないかと思う。サイドフィンに特化して書いているが、斜めに横切る水流はセンターフィンにも影響を与えているわけで、サイドとセンターが途切れることなく影響し合うことで100パーセントの能力を発揮するのじゃないかと推察する。フィンの間に水流の抜ける隙間があったとしてもフィンの面積は変わらない訳だけど、流体との間に生じる力っていうのは、前に書いたように2乗に比例するって可能性があるから、仮に各フィンの面積を2とすると、隙間ありの場合は2×2+2×2=⑧。隙間なしで一体としてとらえられる場合は4×4=⑯となる。

よって隙間が無い方が受けられる力は倍になるという事になる。

何言ってんだか意味わかんない。

という人も多いと思うが、分かってくれる人もいるでしょう。そう期待する。

とにかくこれは憶測というか仮定に過ぎないのだけれど、ボンザーに乗ったことのある人には分かる感覚じゃないかな?と思うのだ。

 

つづく     かもしれない

ツインザー

数年前からのツインブームだし、せっかくツインザーのボードを所有してるんだからツインザーについても書いておこうと思う。
ちなみに僕のツインザーはパべルやマッカラムといった、意識高い系ブランドじゃなく、vonsolというあまり知名度のない、田舎的体育用品系メーカーのものだ。

しかし、性能的にはまったく申し分ない。

ツインザーというのはツインフィンの外側に小さなフィンがついているのが特徴だ。言葉で説明するのは面倒だが見れば解るだろう。

ツインザーに関しては、いつ誰が発明したのか定かではない。その胡散臭い見た目のせいか、他の発明に比べて軽んじられている気がする。

ツインザーの性質・特徴は、フィンを横切る水流を外側の小さいフィンで拾って後ろに流すというところにある。フィンの数自体はクアッドと変わらないが、フィンに与えた役目の違いから、クアッドとツインザーは全く別物と考えるべきだと思う。

クアッドは前列のフィンと後列のフィンがあって、前列はトライフィンのサイドフィン、後列はセンターフィンと同じ役目を果たしていると考えて良い。だから大雑把に考えると、前列はターンの制御とスピードの管理、後列は安定性確保のためのスタビライザーといったところだ。細かく考えだしたらキリがないから、とりあえずそういうことにしておく。

対してツインザーは前列、後列というよりも外側、内側というような配置になっている。内側にはツインフィンと同等のフィン、外側はスタビ的な小さなフィンだ。この小さなフィンがあるとなしでは乗り味に大きな差が生まれる。
何が変わるのか?と言うと、ターンがすごく伸びるようになる。その感覚を例えると、ありがちな表現だが、ターボが効いたような感じだ。簡単にいえば早い波を抜けたり掘れた波に対する適応力が上がる。
ツインザーはその名から推測するに、位置付けとしてはボンザーの亜種というか、発想の大元は同じアイデアなんじゃないかと思う。
水流を掴まえて後ろに流すことでスピードを稼ごうという試みは同じだし。

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フィンの間に水流が発生する

だけど、その効果自体は(あくまで個人的感想)ボンザーよりもツインザーの方が優れているように感じる。

ボンザーはコンケーブやフィンによってスピード性は付加されているけれどターン性能が飛躍的に上がっている感じはしない。もちろんスピードが付きやすくなる分だけターンは深くできるし、ラディカルな動きもできるんだけど、正比例な印象。

対して、ツインザーは増したスピード性に2乗に比例してターン性能も上がっている感じがする。

これは小さいフィンがあることによって、フィンが正しく仕事をするようになるからだと思う。

ツインフィンのみだとフィンの直前をボードの中心から外側方向に横切る水流はフィンの外側に回り込んだ時にフィンから不規則に剥がれて乱流になる。それがツインザーでは流れを剥がれにくくして層流(規則正しい流れ)にしていると思われる。その効果として、安定性とスピードを得ているのだと思う。

安定性とターン性能は一般的なボードでは相反する要素として使われるものだけど、ツインフィン(特にテールが幅広のボード)では安定性がないとターンが難しくなる。要はスタビリティーのないボードは寝かせてられないってこと。長いターンや深いターンが難しくて、大げさに言うとチョコチョコとレールを入れ替えてバランスをとる感じになる。

ツインフィンはハイラインをキープするスタイルに向く。と言われる理由はハイラインにいれば波側のレールが常に喰った状態になって安定するからだ、と個人的に思っている。

ツインザーはそういう感じがなくて、もっと芯のある乗り味になる。

層流は物体の表面に張り付いて規則正しく流れる分だけ速くスムーズだけど、時としてその流れが物体の動きを制限して重く感じさせる。

乱流はその反対で、「乱れ」という響きでは良くない事のように聞こえるが、そんなことはなくて、その剥がれた流れには物体を引っ張る力がほとんどないので自由度がうまれる。

これは水道から落ちる水にスプーンを当ててみればわかる。凸面(層流)は流れに張り付いて水と一体となるのに対して、凹面(乱流)流れに弾かれて暴れる。よく言えば水の影響を受けない。

これはレーシングカーでも同じで、ああいう車も旋回性やスピードの為に層流と乱流を使い分けている。

そんな風にツインザーとツインの違いは生まれているのではないかと思う。

 

シングルフィン考察

文章を書いている間には考えがまとまらない年齢になってきた(笑)。

前回、シングルフィンに関する考察を書いてからも、自分の書いたことにどれ程の真実があるのか考えていた。シングルフィンやボンザーが自分のサーフィンに何をもたらすのか?それが重要だ。
前置きを書くにもエネルギーが要るので、本題に移る。
シングルフィンは練習にならないと書いたが、それは「特段の」ということであって、何のためにもなりゃしない、ということではない。
スラスターでできることをシングルフィンやボンザーで同じようにやろうとすると、速度を維持するライン取りが必要になる。
そして二枚以上のフィンがついたボードで、できることが多い人ほどシングルやボンザーの癖や特徴に気がつきやすい。そういう人は、その特徴を活かしたり誤魔化したりすることができるから練習になる。と思う。
逆にカットバックやオフザリップをできないが人が、ボンザーやシングルにのっても「スムーズで走る」くらいの感想しか持たないと思う。
だから、練習になるとするなら、それは「ある程度できる人」ということになるかな?

ただ、ここまで書いて思うのは、やっぱり楽しいかどうかが重要だ。そりゃ上手く乗れれば楽しいんだけど、ちょっと癖のあるボードの反応を味わうのも楽しいんだ。それは上手いとか下手とか関係なくて、道具が伝えてくることに敏感でいればそれでいい。
ジミー・ガンボアもハルについて「ハルの乗り方はハルが教えてくれる。上手いとか下手とかじゃない。」というようなことを言っていたように記憶している。

間違っていたらごめんなさいだけど。


Sea Movies - Hull O Malibu